Japanese Art works [UTA] (良寛)  NEXT WORKS
いざさらばはちすの上にうちのらんよしやかはづと人はいふとも 極樂の蓮の花の花びらを我れに供養す君が神通 天竺の涅槃の像と良寛と枕ならべに相寢たるかも 良寛が花持てにぐるお姿はいつの世までも殘りけるかな 大めしを食うて眠りし報にやいわしの身とぞなりにけるかな いざさらば我れもこれより乞食せん借宅庵に君は御座あれ うらを見せおもてを見せて散るもみぢ 生きしにの界はなれて住む身にもさらぬわかれのあるぞ悲しき 山のはの月はさやかに照らせどもまだ晴れやらぬ峰のうす雲 かたみとて何か殘さん春は花山ほととぎす秋はもみぢば おもかげの夢にうつろふかとすればさながら人の世にこそありけれ ゆめに夢を説くとは誰れが事ならんさめたる人のありぬらばこそ あすよりの後のよすがはいさ知らず今日の一と日はゑひにけらしも はらからの阿闍梨のみまかりしころに皆來て法門のことなど語りて うま酒を飮みくらしけりはらからの眉しろたへに雪のふるまで あすよりの後のよすがはいさ知らず今日の一と日はゑひにけらしも さす竹の君とあひ見て語らへばこの世に何か思ひのこさん しほのりの山のあなたに君置きて一人しぬれば生けりともなし 世の中に戀しきものは濱べなる蠑螺の殻のふたにぞありける ぬば玉の夜の夢路とうつつとはいづれ勝るとあだくらべせん さす竹の君が心の通へばやきその夜一と夜ゆめに見えけり いづこより夜のゆめぢを辿り來しみ山はいまだ雪の深きに わが親に花たてまらしよ何花を天竺てらす法蓮華の花 から國のかしこき人の親づかへ見れば昔のおもほゆらくに 世の中のうきもつらきもなさけをも我が子を思ふ故にこそ知れ 沖つ風いたくな吹きそ雲の浦は我がたらちねのおきつきどころ 天も水もひとつに見ゆる海の上に浮び出でたる佐渡が島山 古にかはらぬものはありそみとむかひに見ゆる佐渡の島なり たらちねの母がかたみと朝夕に佐渡の島べをうち見つるかも 水くきのあとも涙にかすみけりありし昔のことを思へば。 世の中はかはり行けどもさすたけの君が心はかはらざりけり 越の海のぞみの浦の海苔を得ばわけて給はれ今ならずとも くすりしの言ふもきかずにかへらくの道は岩みち足のいたまん 心あらば草の庵にとまりませ苔の衣のいとせまくとも 君來ませ雪は降るともあととめん國上の山の杉の下道 我れも思ふ君もしかいふこの庭に立てる槻の木ことふりにけり うき雲のまつこともなき身にしあれば風の心に任すべらなり くさのいほにひとり住みぬるきみもとはばさこそしづけきけふと思へば よしあしのなにはの事はさもあらばあれ共に盡さん一とつきの酒 さす竹の君がすすむるうま酒を更にや飮まんその立ち酒を 讃岐のや伊豫の國なる土佐が繪をうつしてぞ見るこれの御園は かきてたべ摘みさいてたべ割りてたべさて其の後は口もはなたず 夕ぐれの岡にのこれる言の葉の跡なつかしや松風ぞ吹く いかにして人をそだてん法のためこぼす涙は我が落すなくに 浮草の生ふるみぎはに月かげのありとはここに誰れか知るらん 世の中に何が苦しと人問はば御法を知らぬ人と答へよ 如何なるか苦しきものと問ふならば人をへだつる心とこたへよ あわ雪の中に立ちたる三千大千世界又其の中にあわ雪ぞ降る 我れながらうれしくもあるか彌陀佛のいますみ國に行くと思へば かげのありその浪の立ちかへり見れどもあかぬ一つ松かも うちわびて草の庵を出て見ればをちの山べは霞たなびく わが庵はおく山なれば仲々に月もあはれに花ももみぢも 我が宿の竹の林は日に千度行きて見れどもあきたらなくに 言の葉の花に涙をそそぐなり世すべなき身の何しらずとも